矯正治療は決してぜいたくな治療ではありません
歯列矯正は自費の治療なのでぜいたくな治療と思われがちですが、決してそうではありません。
歯にはそれぞれ自浄作用(自らが自然に表面をきれいにする能力)というのを持っています。歯にはそれぞれに凹凸(おうとつ)がついているのがわかるかと思いますが、その凹(おう)の部分、つまりくぼんだ部分は、噛み砕かれた食べ物が唾液に混じって流れる道になっています。
その流れにそって歯の表面はきれいに洗浄されるようにできているのです。
昔の人たちは、この自浄作用を最大限に利用していたそうです。
歯並びが悪いと、歯の自浄作用が発揮できない
現在は食生活が変化し、噛むことも少なくなって歯の表面に付着しやすい食物も多くなっているため、歯磨きという補助は必ず必要になってきます。でも、食べ物が唾液に混じって流れるという一連の流れがあることで、歯磨きや口腔衛生管理が容易になることは間違いありません。
この流れの道はそれぞれの歯が適切な位置に配列されてはじめて威力を発揮します。
歯並びが悪いと、これらの流れが阻害されて食物が停滞しやすくなります。
また歯磨きでの磨き残しができる可能性も多く、虫歯や歯周病にもかかりやすくなるのです。
根本的な問題としては、歯並びが悪いとそもそも食べ物がよく噛めない、という機能的な障害も挙げられます。
噛めないことで軟らかい食べ物ばかりに偏りがでたりすると、アゴの筋肉や骨の発達にも悪影響を及ぼし、最近では脳の発達も妨げるという報告もあります。
きれいな歯並びはステイタス
そして歯並びは表情などを演出する美しさという役割を担っています。
これは人格を形成する上でとても重要な精神衛生上の要素なのです。
忍耐というのが美徳であった過去に、日本においてはこの精神衛生上の要素が理解できずに、歯列矯正はぜいたくといわれたのかもしれません。
欧米では、歯並びの良さが中流階級以上に属するためのステイタスになっていますし、特に米国では離婚の条件として、子供の養育費とは別に矯正歯科や審美歯科の治療費が請求されることも少なくありません。
まとめ
このように歯列(歯並び)というのは、心身共に健康な状態を保つためにはとても重要な部分なのです。
特に幼・青少年期の矯正治療は親の義務といってもいい時代にきていると思います。
現在は歯列矯正の研究も進み、一昔前の矯正専門医の技術的レベルは一般の開業医でも身につけています。
矯正治療は受けやすく、そして治療期間も速くなっているのです。
歯並びが悪いと感じたら、一度近くの歯科医院でご相談されたらいかがでしょうか。