画像:いらすとや
歯科医院に勤めていると「歯並びが気になっているけど矯正するなら抜歯をしなきゃならないんでしょう?」
というご質問をいただくことがよくあります。
健康な歯を抜歯するなんてとんでもない!と思うのも無理のないことですね。でも、抜歯するからにはそれだけの理由があるのです。
一方では、「非抜歯矯正」をアピールしている歯科医院もあります。抜かなくてもいいんだったら、そっちのほうがいい!と飛びつきたくなってしまいますが、慌てるのは禁物です。
なぜなら成人矯正の場合、抜歯をしないときちんとした歯並びにならない場合が多いのが事実だからです。
歯列矯正って抜歯するの?
なぜ歯並びを治す歯列矯正で抜歯をしなければならないことがあるのでしょうか?
歯並びが悪い理由のひとつとして、あごの骨の大きさに対して歯の埋まるスペースが足りないことが挙げられます。歯をきれいに並べるためには並べる場所を確保しなければならないのです。そのために永久歯を抜かないといけなくなることがあります。
でも子供の歯の矯正に関しては、まだ骨が成長段階にあり、骨の成長に合わせて矯正を行うことができるため、抜歯をしなくても良いケースがグンと多くなります。
矯正治療はどの年齢でも行うことができますが、子供のうちに矯正治療が勧められる理由として「抜歯をしなくても済むことが多い」ということが大きな理由として挙げられます。
健康な歯だから抜きたくない!でも…
抜歯をしない矯正治療=非抜歯矯正を大きく宣伝している歯科医院がありますが、何でもかんでも非抜歯で矯正を行うことはトラブルの元になりかねません。
本来抜歯が必要なケースにおいて非抜歯矯正を行った場合、あごの骨が小さくて場所が足りないところに無理やり歯を並べていくことになります。
その結果、歯並びが外側に向かって出てしまうために口元が出っぱった印象になったり、あごの骨から出たところに並べられてしまうために、歯の表側の骨が薄くなってしまい、歯茎が下がって歯が長く見えるようになったりします。
しかも無理やり歯を並べていますので、歯並びが後戻りしやすい傾向もあります。
歯に対してあごの骨の大きさが足りないケースに関しては、歯を間引きして並べる矯正治療が必要になります。そのために抜歯をします。
もちろん、大人の矯正で抜歯をしなくてもきちんと治療できるケースもありますので、「歯を抜きたくないから」という理由で歯科医院を選ぶのではなく、信頼できる矯正歯科医院の先生とよく相談しながら治療方針を決めることが大切です。
まとめ
歯並びをよくするために抜歯をしなければならないかどうかは矯正歯科できちんとした検査を行ってのみ分かることです。
「なんでも非抜歯でやります」という歯科医院は注意したほうがいい、と個人的には思います。
お子さんの歯並びが気になっている方は、非抜歯で矯正を行える可能性の高いうちに矯正治療を始めることをお勧めします!可能であれば歯を抜かないできれいに並べられるのが一番ですからね。