歯茎下がり「論より証拠」
歯は頭と首と根っこの3つの部位から成り立っています。
画像:BiVa
- 頭: 外からの刺激から守るために硬いエナメル質で守られている「歯冠」
- 首: ちょうど歯茎の境目辺りの細いところを指す「歯頚部」
- 根っこ:歯茎の中に埋まっていて硬いエナメル質で保護されていない「歯根」
普段は歯冠部分しか見えていないので、半透明のエナメル質から象牙質という内側の黄色味の強い組織の色が透けて見える程度です。ところが歯ぐき下がりになると埋もれているはずの歯根が露出してエナメル質で覆われていない象牙質の色がはっきり見えてしまうために濃い黄色の部分ができるのです。
鏡を見てどきっとしたあなたに歯茎下がりについてもう少し詳しくお話ししましょう。
歯茎下がりの4つの原因と原因別対処テクニック
歯茎が下がる原因にはどんなものがあるでしょう。
歯茎下がりが気になる人は、これ以上下がらせないためにも、まず自分の原因はどれに当たるのかを探り適切な対処法を身に着けましょう。
原因その1. 歯ブラシによる過剰な刺激
歯ぐきは皮膚と違い粘膜ですからとても柔らかくて傷つきやすい組織。そんな歯ぐきが毎日歯ブラシで強く擦られると徐々に削られていきます。「歯ブラシはさっさとすませたい」というせっかちや人や「いくら磨いても汚れが残っていそう」という神経質な人、「やっぱり歯はガシガシ磨かなきゃ物足りない」という男性に多いようです。
- 硬い歯ブラシを使っている、研磨剤の入った歯磨き粉を使っている
- 歯ブラシの毛がすぐ広がる
こういう人は歯ブラシを柔らかいものに替え、歯磨き粉も液体歯磨き剤をおすすめします。歯ブラシをペングリップ(鉛筆握り)にして大きくこすらずに歯と歯の隙間に毛先を軽く入れ込み揺すります(あえて磨くとは書きません)。この動かし方でオーバーストロークを避けましょう。
原因その2. 歯周病
歯周病は歯ぐきの下にある顎の骨が溶けてなくなっていく病気です。骨が溶けていくためその上にある歯茎も一緒に下がってしまいます。進行すると歯茎が下がるだけでなく歯もぐらぐらと揺れるようになります。
- 歯茎から出血がある
- 口臭が気になる
- 歯がぐらぐらする
このタイプの人は歯周病の疑いがあります。まず歯医者さんで検査しましょう。必要があれば歯周病の治療を行います。歯周病の治療をすると今以上に歯茎が下がることがあります。でもこれが今のあなたのベターな歯ぐきの状態だと考え、これ以上進行しないようにすることが大切です。
原因その3. 加齢
年齢とともに少しずつ歯ぐきは衰え痩せていきます。この場合、全部の歯茎が同じように下がっていくのが特徴です。個人差はありますが生理的なものですので避けられません。
- 全部の歯が長くなってきた気がする
特に歯茎に異常が見られない場合、加齢によるものと考えられます。顔も年齢と共にシワが目立ち始めますよね。それと同じように歯ぐきも年相応の姿があるのです。今まで通り仲良く付き合っていきましょう。
原因その4. 歯茎への強いストレス
歯並びや被せ物などによって噛み合わせが他より強く当たる歯は、日常的に歯茎や骨に強いストレスを受けています。また、歯ぎしりや食いしばりの癖がある人は、歯ぐきだけでなく口の周囲の筋肉や顎の関節にも強いストレスを与えることがわかっています。その他、矯正治療によって強制的に動かした歯の周囲にある歯茎は移動のストレスで下がることがあります。
- 一部の歯茎が下がる
- 昔矯正をしていた
- 口の中に骨の出っ張りがある
- 朝起きた時顎がだるい、など
噛み合わせを調整したり、強い噛み合わせのストレスを和らげるマウスピースを使うなどの方法があります。研磨剤の入っていない歯磨き剤を使い、歯がしみるなどの症状が気になるときは知覚過敏に効果のあるものを選ぶのもいいでしょう。
歯茎下がりには早期発見・早期対策が鉄板です
歯茎下がりが気になる一番の理由は、見た目という人が多いはず。歯ぐきが下がって歯が長くなると老けて見えますし、歯根の黄色味が汚れや着色に見えてしまうことも…。また、隙間も広くなり食べ物も詰まりやすくなります。
いったん下がってしまった歯茎を元に戻すのはとても難しいことです。外科的に歯ぐきを移植するなどの方法もありますが、しばらくは日常生活に支障が出たり思ったような成果が出ないこともあります。また、歯根が露出することで虫歯が進行しやすく知覚過敏などを訴える人も少なくありません。
歯茎下がりの一番の対処法は早期発見です。
あれ?と思った時が始め時。まずは歯医者さんに行って自分の歯茎下がりの原因を見つけ出し、適切な対処法をアドバイスしてもらいましょう。